デジタルイノベーションを通じて脱炭素社会の実現を目指すアークエル株式会社(福岡市)の宮脇良二・代表取締役CEOによる、佐賀市二酸化炭素利活用(CCU)事業に関する共著論文が、世界最大の経営学会であるAcademy of Management(米国経営学会)2026年次大会で、「組織と自然環境」部門の優秀論文賞に選出されました。佐賀市清掃工場の排ガスから分離回収した二酸化炭素(CO2)を周辺の藻類培養や農業で利用するエコシステムがどのように形成、継続されてきたかを検証した研究論文で、事業を進めてきた佐賀市や(一社)バイオサーキュラーエコノミー協議会の取り組みについて、「循環経済(サーキュラーエコノミー)の前提条件とされる、回収された資源を取引する『市場』がないにも関わらず事業を継続できたのは、『迷惑施設を価値ある場所へ転換する』という魅力的な将来像を提示し続け、企業、研究者、住民などの多様なアクターが、それぞれの期待をその未来像に重ね合わせて関与し続けることができたから」と分析。「佐賀市の事例は、『市場の不在』や『迷惑施設』といった負の要因があっても、循環経済の構築に継続的に取り組んでいくことができることを示唆している」と評価しています。
アークエル㈱宮脇良二代表が佐賀市や協議会会員などに取材してまとめる
宮脇氏は、佐賀市議会の記録、新聞記事など132件の文書資料にあたるほか、市やバイオサーキュラーエコノミー協議会の会員企業、佐賀市エコプラザ、地域住民、大学関係者27人にインタビュー。事業への参加動機や、関わったことによる認識の変化、市場化の見通しなどについて聞き取り、論文をまとめました。
論文ではまず事業の経緯について、「いわゆる『迷惑施設』であるごみ焼却場の統合に反対する住民の理解を得るために排ガスから回収したCO2の利用と地域への還元に着手し、企業や研究者の情報共有の場となる協議会を設立して藻類産業の確立、農業集積へと事業を拡充してきた」と説明。従来、回収された資源を取引する「市場」がなければ循環経済は停滞するとされてきた中で「CO2市場がなかったにも関わらず、事業は持続できた」と佐賀市の事例が定説を覆したことを示し、その理由について検証しています。
その結果として、佐賀市の取り組みは「行政として半永久的に迷惑施設への理解を求めなければならないことが持続的なエネルギー源となり、また『市場の不在』により経済的な収束をもたらす明確な判断基準がなかったことで、関係者は『次に何ができるか』を模索し続けることができた」と指摘。事業の推進にあたって佐賀市は単なる調整役にとどまらず、民間企業や大学の研究者が参加しやすいように事業化前の設備投資や技術的リスク、制度解釈などに「共に汗をかき」、また「住民や外部に対して対話し続け信頼を繋ぎ止めた」としました。さらに協議会(現在のバイオ・サーキュラーエコノミー協議会)を設置し、ビジネス化を目指す企業、知的好奇心を満たしたい研究者、地域貢献を願う市民など、多様なステークホルダーが関与できる場を提供。試行錯誤を繰り返しながら「失敗を固定化せず、その失敗を次のステークホルダーの参加へと組み込んできた」と総括しました。
そして、佐賀市の事例は「迷惑施設を起点として、市場の不在にもかかわらず組織化が持続したプロセスと意義を示している」と評価、「今後の研究では同様の『反復を通じて強くなる』プロセスが、他の分野や地域においても観察されるかを⽐較検討する必要がある」とまとめています。
米国・フィラデルフィアのシェラトン・フィラデルフィア・ダウンタウン・ホテルで8月3日に開かれた学会で論文を発表した宮脇氏は「この研究は、佐賀市清掃工場のCO₂回収装置とその周辺で育まれてきた、佐賀市ならではの取り組みなくしては生まれませんでした。まだカーボンクレジット市場が確立していない領域にあっても、行政・企業・地域の皆様が対話を重ね、実験を止めずに続けてこられた——その積み重ねそのものが、今回の研究が光を当てた価値です。世界の研究者が集まる場でこの佐賀の事例が高く評価されたことは、現場を築いてこられた佐賀市、佐賀市エコプラザ、および一般社団法人バイオサーキュラーエコノミー協議会をはじめとする関係者の皆様の歩みが評価されたものにほかならず、心より感謝申し上げます」と話しています。
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アークエル代表 宮脇良二の共著論文が、世界最大の経営学会Academy of Management 2026年次大会にてベストペーパーに選出 | アークエル株式会社


佐賀市CCU事業を検証する論文を米国経営学会で発表、優秀論文賞に選ばれた宮脇良二氏